お墓参りをするのは人間だけ

おじいちゃんが亡くなって三年過ぎたある日、小学生のA子ちゃんは
家族そろってお墓参りに行きました。

「お参りするときにね、心の中で、「おじいちゃん」と呼んでごらん。
きっと、おじいちゃんの顔が浮かんできて、声も聞こえるよ」
と、お母さんがA子ちゃんに言いました。

A子ちゃんはお墓に向かって、そっと、
「おじいちゃん、こんにちは」
と言ってみました。

するとすぐに、あの優しいおじいちゃんの顔が思い出され、
はっきりと声も聞こえてきました。

「A子、よく来てくれたねぇー。大きくなったねぇ。ありがとう!!」


お経が終わると、お坊さまがA子ちゃんに語りかけました。

「とても上手にお参りできたね。きっとおじいちゃんも大喜びだ」

A子ちゃんは何だか嬉しくなって言いました。

「私、お墓作ったことあるよ。
猫のクッキーの子猫が産まれてすぐに死んじゃったの。
だからお母さん猫のクッキーが見える所がいいと思って
お家の庭の木の下に穴をほって、土をかぶせてあげたの。子猫のお墓ね」

「ほほう。それは良い事をしたんだね。お母さん猫の見える所に
子猫のお墓を作ってあげたのかい。
A子ちゃんは優しいねぇ!」



「ところで、A子ちゃん。子猫のお墓を作ってあげたら、
お母さん猫、ちゃんとお参りしたかい?」

お坊さまの質問に、A子ちゃんは困った顔をして言いました。

「それがね。クッキーはお母さんなのに、ぜんぜんお墓参りしないの!
お坊さま、動物はお墓を作ったり、お墓参りはしないの?
お墓参りって人間だけがすることなの?!」


「・・・・、A子ちゃん。君はとても大切なことに気がついているんだよ。

その通り!!
お墓を作ったりお墓参りするのは人間だけなんだ。
いや、人間だからこそ、できるんだね。
かわいそうだけれど、動物は死んでしまった家族や兄弟や友人のことを
思い出せないんだね。
でも人間は、亡くなった人のことを心の中でいつまでも
思うことができる・・・・。
亡くなったおじいちゃん、優しかったなぁとか、
亡くなったおかあさん、私を産んでくれてありがとうとか、
お父さんが亡くなって、もう十年も経つけれど、
お父さんが教えてくれたこと忘れませんとか・・・・・。

亡くなってしまっている人が、今も生きているかのように思って、
お礼を言ったり、感謝をするために
お墓を作ったりお参りするんだよ。
こんなことができるのは人間だけ。動物にはできないんだ!!」

じっと聞いていたA子ちゃんが言いました。


「私、人間でよかった。。。
 だってお墓参りに来て、おじいちゃんにいつでも会えるから・・・・・」